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シンクロメッシュは、もともと騒音防止用にもスムーズな加速のためにも必要だったのです。
そしてレースがなによりもまずシンクロメッシュを必要としたのです。
レーシングカーは非常に早い時期からシンクロメッシュを採用しています。
ただ、それを大量生産するのがむずかしくて、日本でも戦後やっと大部分のトランスミッションがシンクロメッシュ化されたわけです。
ギアチェンジは正しくやる。
くりかえしますが、馬力というものはトルクと回転数の積なのです。
だから同じ馬力ならば、トルクが大きくなれば車輪の回転数が小さくなり、車輪の回転数が大きければトルクは小さくなります。
だから我われがアクセルペダルを踏んで口Iギアで発進して、そのままスピードを高めていくと、回転計を見るとすぐわかりますが、回転数がどんどん上がっていってしまいます。
かりにローギアで時速八〇キロ、一〇〇キロを出すと、回転計の針はレッドゾーン、つまり危険信号のところまでいってしまいます。
だからギアチェンジ一つでも正しく操作しないと、エンジンを傷めることになります。
次に重要なのはタイヤです。
レーシングカーのタイヤを見ると、前輪が後輪より少々小さいのですが、いずれもかなり大きく見えるでしょう。
それから幅がものすごく広い。
だからタイヤのあいたに車体がはまりこんだようなかっこうに見えるでしょう。
前輪のほうが小さいのは、ハンドルで方向を容易に変えられるためです。
またタイヤを大きくするということは、蒸気機関車の動輪が大きいとか馬車の車輪が大きかったのと同じ理由で、大股に走るようなものなのです。
小さな車輪ですとチョコチョコ走るけれども、大きな車輪ですと大股に走る。
だからレースのときに大股に走ろうとするのはすぐ考えられることですけれども、もう一つ、大きくしてしかも幅を広くしているということは、中に詰まっている空気の量をうんと増やそうとしているためです。
その空気でボディーを支えているのです。
空気の量を大きくしているために、少々圧力を低めてレーシングカーは幅広1も十分にボディーを支えることができます。
圧力を低くするということは、大きさの割合には空気が少ないということです。
低圧だと、あの幅広いタイヤがよく路面をグリップします。
だからコーナーを回ったときに引っくりかえらないと大変なことになる。
つまり、コーナーを安定して曲がれるのです。
それから接地の圧力も少なくなっているから、タイヤの表面に刻み目が入っているのをトレッドといいますが、あのトレッドが擦り減ることも少なくなります。
なにしろレースのときには時速二〇〇キ口ぐらいで走るのですから、タイヤはすさまじい勢いで路面と摩擦する。
ですからトレッドはどんどん減っていく。
機械的に減ることもあるし、熱で燃えてしまうこともあります。
トレッドはなぜあるかというと、しっかりと路面をつかむためです。
あれが坊主タイヤだと、常識でもわかるように、ツルッルになってしまえば路面をしっかりつかまないでしょう。
だからタイヤが減ってくると非常に危険です。
スキッドしやすくなりますし、雨が降ると滑りやすくなるし、カーブを曲がるときには引っくりかえりやすくなります。
レースの場合は、なにしろ三〇〇キロレースとか五〇〇キロレースというようなものですから、高速で走れば、たちまちにしてタイヤが減って、非常に危険な状態になります。
だからどうしても接地圧力を低くしてトレッドへの負担を軽くしてやる必要があります。
そうすれば、タイヤはしっかりと路面をつかむことができます。
タイヤが大きすぎても困るレーシングカーは重心が非常に低い。
我われの車にくらべると、はるかに低いところにドライバーがいます。
我われの車のように、あんなに低い重心をとれない場合は、タイヤが大きければ大きいほど、重心は上のほうへ行ってしまう。
そうするとカーブを曲がるときに、重心が上に行っていますから、引っくりかえりやすくなります。
レーシングカーの場合は、人が乗っているところは実に軽くつくられている。
レーシングカーの重さの大部分はタイヤと燃料とエンジンです。
我われの場合は、タイヤと燃料よりもボディーの重さのほうがはるかに大きい。
レーシングカーとふつうの車とは、そこが非常に違うのですね。
我われの車の場合は、レーシングカーと違って、ある程度ボディーの重量を大きくしなければならないが、それにしてももちろんボディーは軽いほうがいい。
つまり同じエンジンの馬力ならば軽いほうが速く走る道理ですから、軽いほうがいい。
それから、車が路面からいろいろな衝撃を受ける場合、車軸のバネから下の部分(車輪の部分が圧倒的に多く占めています)にその衝撃がきいてくる。
だから、バネ下重量が大きければ大きいほど衝撃が大きいのです。
バネ下重量が小さいほうが衝撃が少ない。
そういう意味からいっても、タイヤがあまり大きいのは考えものです。
小さくなければ困る。
そのかわり、小さいタイヤは大きなタイヤのようには大股で走るわけにいきません。
チョコチョコ走らなければならない。
だから車の回転数をスムーズにあげていかなければならない。
それは先にお話ししたトランスミ。
ションの働きで十分にできます。
我われの車ではトランスミッションで補って、その回転数を十分に速くすることができます。
ただし、タイヤと路面とのあいだの摩擦力は、先ほど言いましたように荷重(自動車の重量)に比例するのですから、その意味では、車体はある程度重いほうがいい。
その重さは、タイヤの空気の量が支えているのですから、タイヤの空気量を大きくしたほうがいい。
とすると、小さな車輪で空気の量を大きくしようと思うと、やはり幅が広くなります。
その意味でも最近の自動車のタイヤの幅はどんどん広くなっています。
このほうが比較的低圧で重量を支え、したがって路面をグリップする程度が高いということから、最近はタイヤの傾向はだんだん偏平になりつつあります。
タイヤの高さにくらべて、幅がどんどん大きくなっています。
これは最近の自動車の特徴です。
その意味でも、レーシングカーに近いかっこうになりつつあります。
スポーツカーであればあるほど、レーシングカーのごとく幅の広いタイヤがついていまず。
ラジアルタイヤとは何かさてその次に、先ほど私はトレッドがいかに路面をつかむかということを言ったのですが、トレッドがやたらにグユヤグユヤ曲がると、常識的にもわかるように、タイヤもグユヤグユヤ動いてしまうから安定しないのです。
トレッドはなるたけがっちりと路面と摩擦してもらわなければ困る。
フニャフニャしながら摩擦されては困ります。
トレッドがフニャフニャ曲がらないようにつくったタイヤをラジアルタイヤと言います。
タイヤはゴムでできていますが、タイヤの裏にカーカスという布のようなものが織りこまれていて、これがタイヤの強度を増しているのです。
これはなるたけ強い繊維でなければならない。
ですからナイロンとか、最近登場して飛行機の機体の材料などに使われているケブラーという特殊な高分子の繊維を使っています。
それから、さらにスチールの繊維を使っています。
こういういくつもの非常に強い合成繊維やスチールの繊維を使ってカーカスがつくられています。
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